「いい汗かいたわ〜!」と、久々に爽快な気分で帰りの電車に揺られた12月5日のこと。
何をしてきたのかというと、じつはデザイン思考の勉強会イベントに参加してきました。
デザイン思考なのにトレーニング?
と、私も最初は半信半疑で参加したのですが、イベントを終えてみて、トレーニングすることがとても大切なことに思えたので、
デザイン思考のトレーニングの必要性と、イベントで何をやったのかも紹介していきます。
はじめに:そもそもデザイン思考とは?
昨今、AppleやGoogle、IDEOをはじめとする企業が「デザイン思考」を取り入れ、様々な製品やイノベーションを起こして話題になっています。
デザイン思考については、良い書籍や記事が存在している中であえて事細かに説明することでもないと思うので、重要な部分をざっくりと下記に抜粋しました。
全てを“Why”から始め、最終的にイノベーションを創り出すプロセス
(引用元:【やっぱりよくわからない】デザイン思考ってなに? | freshtrax | デザイン会社 btrax ブログ)
『デザイン思考の5段階』
(1) 共感 (Empathise) – ユーザーの行動を理解し、寄り添い、何が問題なのかを見つける
(2) 定義 (Define) – ユーザーのニーズや問題点、みずからが考えることをはっきりさせる
(3) 概念化 (Ideate) – 仮説を立て、新しい解決方法となるアイデアを生み出す
(4) 試作 (Prototype) – 問題に取組み始める
(5) テスト (Test) – 検証こそが解決方法
(引用元:AppleやGoogleも採用!今話題の「デザイン思考」をわかりやすく解説|ferret [フェレット])
1. デザイン思考にもトレーニングが必要な理由
セミナーや勉強会へ行ったり本を読んだりすれば、デザイン思考の概要やプロセス(流れ)はなんとく理解できると思います。
でも実際のところ、私たちは上手く活用できてるでしょうか?
1-1. デザイン思考は自己完結しない
デザイン思考は一人では完結できません。
そのプロジェクトのメンバーと協力してこそ、効果を発揮するプロセスなのです。
「デザイン思考」の代表的な事例として挙げられるのが、AppleのiPodです。開発体制として、社内のデベロッパーと社外のデザイナー、心理学者や人間工学の専門家など、35名が集結し、わずか11ヵ月の短期間で開発が行われました。
(引用元:AppleやGoogleも採用!今話題の「デザイン思考」をわかりやすく解説|ferret [フェレット])
ですが、私たち日本人はここに大きな問題を抱えています。
それは「まわりの空気を読む」こと…!
よく言えば日本人の美徳とも取れますが、デザイン思考にはかなりネックになります。
みんなが顔色を伺って譲り合った結果、世界をあっと言わせるようなイノベーションが起こせるでしょうか?
私たちはデザイン思考を始める前に、まずその「日本的な美徳」と闘わなければならないのです。
1-2. 人前で自分の思考を発散することにも練習が必要
私は今回の勉強会イベントで有意義な時間を過ごせたように感じています。
それは、ほとんどの参加者が「自分の考えを人前に出すことに慣れていたからでは?」と思いました。
言わば、「付箋とペンを渡されて、みんなで真っ白なホワイトボードを囲んだらどうするか?」がわかっていたのです。
人前でスピーチするにも、デザインを作るにも、何にだってトレーニングは必要ですよね。普段からトレーニングにしておかなければ、いざ「じゃあ明日のスピーチ頼むわ!」と言われて、すぐにできるものでもありません。
スピーチは磨けば磨くほど洗練され、相手に伝わりやすくなります。
デザイン思考に必要な「自分の考えを人前に出すこと」も、練習すればするほど、慣れれば慣れるほど、たくさんの潜在的な問題点を発見したり、素敵なアイデアが生まれていくのではないでしょうか。
1-3. 思考を持ち寄って共有する大切さを体感する
そして、今回参加した勉強会イベント「Design Thinking Square」では、まさに自分の「思考を発散すること」が目的でした。思考のトレーニングなのですが、私がここでポイントだと思うのは「人前」だということです。
今回の勉強会イベントを通して、みんながそれぞれの思考を持ち寄って共有することが、デザイン思考でとても大切なことのように感じました。
一人では決して出てこないことが、「一人」が「みんな」になった瞬間、すごく思考の輪が広がるのです。
2. 実際にDesign Thinking Squareでやったこと
実際にこの勉強会イベントでやったことを簡単にご紹介します。
Design Thinking Squareは「デザイン思考をトレーニングして鍛える場」です。そのため実践的な内容となっており、参加者の方には「教わる」ではなく主体的に「参加する」という姿勢でワークをしてもらうことになります。
(引用元:サービスデザインを実践トレーニングできるイベント「Design Thinking Square」開催 | UX MILK)
とイベントページにも書いてあったとおり、セミナーではなく本当にこれぞ参加型のワークでした。手ぶらで全然OKな状態で、PCやスマホなんて使いません!
あるのは、ホワイトボード、付箋、ペン!あとは水とお菓子!以上です。
(頭の消費が激しいせいか、結構お菓子大事でした。笑)
2-1. 全体テーマとリーンキャンバスにそった部屋
今回のテーマは「社会問題」。
Webサイトにもありましたが「宅配荷物が受け取れない問題」であったり、ほか「いじめ問題」や「待機児童」など、なかなか深いテーマ。
部屋がリーンキャンバスの項目にそって、5つにわかれていました。
(※リーンキャンバスはあくまでも項目わけに使われています。)
- 問題
- 顧客
- 価値
- 解決策
- 優位性
2-2. 全体の流れ:1セット15分を6セット
それぞれの部屋に入ったら、
【1セット15分】という非常に短い時間で、下記のことを行います。
→ 自己紹介もかねて、名前を言いつつ口頭で自分が思う問題を言う。
2.その部屋の項目に沿った案や考えられることをブレスト(8分)
→ 各々が付箋に書き、みんなに話しながらホワイトボードに貼る。
→ 誰かの言ったことで思いついたら、どんどん便乗する。
3.案をまとめる(3分)
→ みんなで貼り出した付箋を分類したりまとめたりして整理する。
4.各々の感想(1分)
※すみません、時間配分はうる覚えです・・。
延長とかありません!とにかく発散して、時間が終了したら次の部屋へ・・と、休憩を挟んで前半・後半合わせて【6セット】行いました。
ちなみに、メンバー構成は各々が自分で部屋を選ぶので、毎回バラバラです!
最初は全体でオリエンとウォームアップがありましたが、各部屋に入ってからアイスブレイクなんてしませんので、コミュニケーションも部屋に入る度にその辺も“超実践”なのです。
また、全体で3時間でしたが、1セット15分の短いサイクルだったので、逆に集中力が持続されたように思います。その辺もポイントかもしれません。
最後に
いろいろ書きましたが、何より頭の中を思い切り発散すること自体が気持ちの良いことでした!
「こんなに頭使うのって爽快だったっけ!」と思うぐらいに。決して大げさではありませんよ。
逆を言えば、私たちは本当に普段から「Thinking」→「Output」が少ないんだなと思いました。
考えることが、“苦しい”のではなく“楽しい”に変わる。
そんな体験を気軽に味わえる、まさにデザイン思考のスポーツジム版みたいな場所が日本のあちこちにあったら良いなと思いました。
イベントの最後に、主催のお二方と少しお話しさせて頂きました。
テックファームの天野さんは、今回のような場を常設したいぐらいなのだと仰っていました。 テックファームのスタッフの方々もリハーサルをやったりして、かなり気合いを入れてのイベントだったようです。
また、UX MILKの三瓶さんも、普段のイベントでみんな付箋を使って満足してるのに疑問を感じていて、こういうイベントをやりたいと思ったのだそう。
主催者側からも“熱”を感じるイベントでした。今後に期待です。