おすすめのデザイン案が選ばれるためには?「クライアント視点」で提案してみよう

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デザインを何案か作ったとき、いつも自分が一番おすすめのデザインが選ばれない…デザイナーあるある。 でも、もしかしたら『クライアント視点』を取り入れることで解決できるかもしれません!

私の経験からあくまでも一例ですが、私が考える理由と方法をあげてみました。少しでも参考になれば幸いです。

それでは以下からどうぞ!

1. 選ばれない理由

『あまりみたことがない』デザインだから?

まずはじめに、クライアントの立場を想像してみましょう。
あなたはとある企業の担当者で、Webデザインを発注しました。

[ とある企業の担当者はきっとこんな前提 ]

  • デザインやアートに普段から触れる機会がない。
  • デザインは見た目だけだと思ってる。
  • 売上やこのプロジェクトを成功させることが一番大事だと思ってる。

さあ、そんなあなたの目の前に、デザインが2案ほど提示されました。

A案とB案
  • A案:よくみるデザイン
  • B案:あまりみたことがないデザイン

どうでしょうか?【B案】の『あまりみたことがないデザイン』を選ぶかというと、結構悩ましくありませんか?

しかも、クライアントであるあなたは、この後、自分が選んだ方のデザインを上司や社長に見せて、そのデザインで進めていいか承認を取らないといけません。

なので、安心できて、自分も説明が楽で、承認が取れやすそう・・。と考えると、【B案】ではなく【A案】の『よくみるデザイン』を選ぶのではないでしょうか?

クライアントはトレンドを知らないから?

じつは、なかなか選んでもらないあなたのおすすめデザインはクライアントにとって『あまりみたいことがないデザイン』であることが多いのでは、と思うのです。

あなたのデザインがクライアントにとって、なぜ『あまりみたことがないデザイン』に分類されてしまうのか?それは、流行のトレンドを取り入れているからではないでしょうか。トレンドってファッションでもそうですが、追いかけてないとすぐ置いて行かれてしまいます。

私たちデザイナーでも流行を日々追っているのに、それをあまりデザインに触れる機会がないクライアントがみたらどうでしょう?「なんだか、よくわからない!」「え、想像してたのと違う!」と思うのではないでしょうか。

だからといってクライアントに合わせていいの?

でも、だからといって【A案】ばかり案が通ってしまっては、ありふれた無難なデザインばかり、それどころか一昔前のデザインになりかねません。(もちろんターゲットによっては無難がよいときもありますが。)ユーザーに見てもらいたくて作っているはずなのに、それではユーザーにも響きません。

【B案】の『あまりみたいことがないデザイン』の方をクライアントに選んでもらうにはどうしたらいいのでしょうか。

2. 選んでもらう方法

今まで試行錯誤してきたスズキが考える、おすすめデザインを選んでもらう方法を3つあげてみました。

  • (1)一緒に参考サイトを見せる
  • (2)デザインの説得資料を付ける
  • (3)そもそも案を1つだけにする

方法(1)一緒に参考サイトを見せる

クライアントは普段から私たちデザイナーのようにWebサイトを見ていません。なので、最近のトレンドを教えてあげる必要があると思うのです。

「他もこうしているんですよ」と、すでに公開されている参考サイトを見せてあげることによって、クライアントは「お、ほんとだ〜。他もやってるなら大丈夫かな」と安心するのではないでしょうか。

クライアントの担当者が上司や社長にみせるときも、「ほら、他もやってるんです」と説明しやすくなりますよね。

Suzuki Point 01

参考サイトを選ぶ・見せるときに注意したいこと

★ あくまでも『自分のデザインを引き立ててくれる参考サイトを選ぶ』こと。

クライアントが目移りしてしまう参考サイトを選んで、こっちの方がいいと言われてしまっては本末転倒です!(まるで合コン・・笑)

★ 『見せすぎない』こと。

あっちもこっちも見せてしまうと、クライアントも頭の中がぱんぱんになって何がいいのかわからなくなってしまいます。その参考サイトは『何の参考なのか?』をしっかり明確にして見せましょう。(例えば、レイアウトだけなのか、配色なのか、アニメーションなのか、など)

同じWebサイトを見ていても、人によって見るポイントが違うことを念頭に置いておいて。

方法(2)デザインの説得資料を付ける

なぜそのデザインに至ったのか、説得する資料を付けましょう。

説明ではなく説得とあえて言葉を選んだのですが、やはり相手にメリットになる説明でないと、相手に響かないと思うのです。

参考資料

ベイジさんの社長ブログで載っていたスライドが素晴らしかったのでご紹介します。これぐらい作れたら相手も納得ですね!

Suzuki Point 02

「あり」だけでなく「なし」も載せる

配色や雰囲気・トンマナなど、「こっちがいいですよ!」だけでなく、「ちなみにこっちは違いますよね?」と確認しておくと、比較対象があるのですり合わせがしやすいです。上記でご紹介したベイジさんのスライド資料も9ページ目がまさにそれですね。

方法(3)そもそも案を1つだけにする

上記であげた方法の1と2が揃っていると、案は1つだけで充分なときもあります。

これはまだ私が試行錯誤の段階にいるので、必ずしも案は1つで良いと断言はできませんが、1と2の精度が上がれば上がるほど、案は1つだけで良いようになるのではと思っています。

Suzuki Point 03

「捨て案」は曲者だった…!

自分の案を引き立てるための「捨て案」を作ることがあると思うのですが、この捨て案ってじつはとても曲者なんですよ。

デザイナー自身がダサいと思っていても、世の中は素晴らしくクオリティが高いデザインばかりではなく、この捨て案は【A案】の『よくみるデザイン』に当てはまってしまうのです。しかもどこか手が抜いてあると、人って安心してしまいませんか…?

そんなこんなでクライアントには「捨て案」の方が良く見えてしまうことがあるのです。

まとめ:大事なのは相手の視点に立ってみること

意外とイライラやトラブルって、相手の視点で物事をみていなかったことで起こることが多いように思うのです。これはデザイン提案に限らず、いろんなことにも言えるかもしれません。

何か理不尽なことがあった時、一呼吸置いて客観的に状況を観察してみる。そうすると、「あ、そういうことか〜。確かに相手の立場だったらそう思うかも」となると、それ以上事を荒立てずに対応できますよ。

私もまだまだですが、だいぶストレスが減りました^^
ぜひ、みなさんも意識してみて!